14年前のあの日の自分と対話してみた。
Q 明日。あなたのつくった学校が船出するわけですが
どんな心境なんでしょう。
何が不安で何に困難を抱えていますかね。
A 不安?ないよ。元々何もなかったところから始めるわけだし。
誰かに気を使う必要もなければ
こうあらねばならないなんてことも一切ない。
基本的に「失うものは何もない」状態だから不安はないかな。
困難は沢山あると思う。とにかくお金がない…。
でもワクワクしかないよ。入学する生徒が二人もいるからね。
いきなり生徒がいるなんて想定していなかったから。
Q この日を迎えるまでに一番苦労したことは何ですか?
A 普通の生活を送る事。普通じゃなかったから。
教員時代は本当に甘えていたと思う。
与えられたポジションがあって
与えられた仕事があって
それをとにかくこなしていれば毎月決まった日に給与が振り込まれる。
それなりに教員の仕事は大変なんだけど
大変だって思ったことが一度もなかった。毎日楽しかったし。
ちゃんと仕事が出来ていたかは置いといての話だけど。
教員辞めて、それがいかに「支えられ 与えられていた」のかを痛感した。
全部自分でやらなきゃならないし
お金も定期的に手に入れられるものではなくなった。
だから昼間はボランティア。夜は店の営業。
休みなんてものは無くてそれでもお金は十分に入ってこない。
メンタル的には幸せだったけど
どう考えても普通の生活は失っていたかなと思う。
Q そんな状況下で「やっぱり辞めておこう」と思ったことは無かった?
A それはない。一度もそう思ったことは無かったかも。
無理してやることでもないし そこまで自分も善人じゃないし。
でもただ「これはやらないとなあ」と思い続けていて。
出来たら猛烈に面白い毎日が待っているって思ってたかな。
生徒もスタッフも
朝起きたら「おお!学校行こう!」って思える毎日。
お金はね。あまり手に入らない人生かもしれないけど
毎日が楽しいって思える人生にしたかったし。
生徒は少なくても十分だって思ってた。
一人の人間の成長をお手伝いすることが俺の使命だって思っていたし。
逆に今後。そう思う日が来るんじゃないかなとは想像しているかな。
Q どんな学校になると思いますか?
A わからん。想像はしてみるけど 自分の想像の範疇に収まるようなものだったら
面白くもないし 生徒たちにとってもいい学校じゃないんじゃないかとは思う。
だからど素人集団で始めることに意味がある。
人と人とが関わって生まれる「化学反応」に猛烈に期待しているし楽しみ。
どうやるかではなくて どう生きるかなんで。
生き方は人それぞれなんだけど「生きる方法」を限定し過ぎていると思うんだよね。
この方法じゃないと上手くいかないって
なんとなくみんな思っちゃっている。それが今の日本を築いてきた大事なものなのか
もしれないけど
でもそれで苦しんでいる人々がいることも確か。
だから「こういう生き方でも幸せでーす」ってのがサムガクなんじゃないかと。
学校なんだけど みんなが思っている学校に拘る必要はないかなと。
「ちゃんといい加減」それ目指してます。ちゃんとがなくなると
学校もなくなると思うから。
Q どんなスタッフがサムガクに必要ですか?
あなたにとってスタッフとはどんな存在ですか?
A 知識や技術や経験はどうでもいいかな。
ただ人として俺が信用できるかどうか。だけ。
大体わかるつもり。この人はどんな人なのか。
人に優しいのか それとも人に冷たいのか。
たわいもない会話の中で出てくる言葉の種類で察しが付くものなんだよね。
使ってはならないキーワードみたいなものがあるって言うとわかりやすいかな。
それ使うってことは人に冷たいから。人に優しくしてもらっていないことが分かるし
ってことは人に優しく出来ない。
人を信用出来ていないってことだし 人に信用されないだろうなって。
まあ人間なんて弱いから自分守るためにいろんなことするからね。
それ自体は良くも悪くも受け入れているつもりだけど
人の命を預かる仕事だから。最低限ね。そういうところがポイントになると思っている
かな。
だから職員というよりは同志?仲間?トモダチ?
一緒に痛み分けして笑い合いたい人たち。
こんなんだから基本的に経営者には向いていないと自負はしている。
Q 現時点でのあなたの幸せ度はどれくらいですか?
A 100点。と言いたいところだけど本当にお金がないので90点。
沢山の反対にあったけど 本当に作ってみてよかったと思っている。
まだ始まってもいないんだけど スタートラインに立たなかったら始まらないし。
みんな目標や夢を抱いても このスタートラインまで辿り着かない。
そんでもって諦めちゃって。そんでもって後悔してグチグチ…。
誰でも行けると思うんだよね。でも行けないには理由があると思う。
言い訳しないで兎に角突き進めばいい。
大体言い訳して道を逸れていくんだよね。つまり自分で捨てちゃっている。
この学校はそういうのはもったいないよってしっかり教えていける学校にしたい。
一度諦めた命が
エネルギッシュに生き始めるのを目の当たりにしたい。
今からはじまる沢山のドラマを特等席で見れると思うと
そりゃ幸せかもしれないですね。
あの時の自分と対話してみると
しょうもない大人になってしまっているなあと実感するわけです。
なりたくなかった大人に
こんな自分でもなっていくのだと郷愁の念に駆られます。
あなたのつくった学校は
それでもまだ熱を帯びているから安心してください。
15年目のサムガクは あなたの想像を超えているでしょうか。