昨日は
嬉しいことがあって
飲みすぎた
不肖侍長岡です。
★★
激烈に弱っています。
二日酔いではない気分の悪さ。
アルコール飲んでいるときは
ガンガン行けてしまうんですが
翌日のダメージに耐えられません。
流石に煙草も吸えませんわ。
こういう体たらくな話はさておき。
今日の仕事の中で
心が
ぐわっと右から左へ動かされたというか。
久しぶりに
自分の無力感を実感したというか。
A子は
中学生ですが
死への願望が強く…。
綺麗な死に方を模索するために
生きているんだって豪語します。
まあ
希死念慮とはちょっと違うんですが
自死を肯定的に捉えているというか
生きている意味なんてなくて
どう散るかを考えいるというか。
「花だってそうでしょ。ドライフラワーになんてしてほしくない」
なんてことを
さらって言う子です。
今日も
両手首に包帯を巻いて来ました。
昨夜やったんだそうです。
で
それがしに
「なかなか死ねないもんですね。」
なんて言うわけです。
そういう問いかけには
あまり反応しないことにしています。
それを期待して
わざわざ前日に行っていることは
よくわかるので。
そうされることが
自分にとって不快であるし
とにかく悲しいということだけは伝えます。
あまり
それがしの言葉も
落ちるタイプでもないと思っていたんですが
そうはいっても
二年も通ってくるところを見ると
何かは感じているんだろうなと。
必要としているんだろうなと
ひいき目に見ていました。
Bさんは
娘さんを生後13日で亡くしているママです。
一年の間
そんなママをそれがしなりに支えてきました。
支えられていたのはそれがしですが。
言葉も発することができない
わが子が
どんな思いでその短い生涯を閉じたのか。
あの子は
今何を思っているのか。
自分のせいで
死なせてしまったと
責め続けるママでした。
今も
その子のことを
毎日思い出しては泣いています。
でも
その涙の質が変わってきたと
ママは言うわけです。
今までは
冷たくなったわが子の
姿と感触だけが
すぐに表に出てきたんですが
今は
あの子が生まれて
家族がどれだけハッピーだったのかが
表に出てくる。
あの笑顔を思い出して
嬉しくて涙が出るんだっていうわけです。
ママは乗り越えたっていうんですが
それがしは
乗り越えられるものではないと思っているし
乗り越えなければならないものでもないと思っています。
ママが生きている間。
生涯ずっと
あの子の死を背負い続けるはずで
ずっと悲しくて
ずっと切ないはずで。
でも
それでいいんだって思うんです。
そう思ってあげないと
その子は
ママの中で生きることはできないと。
強がっているママが
本音を吐露し
悔しさに身を震わせながら
泣ける場所がここだったりします。
「お前のせいであの子は死んだんだって言ってほしい。」
それが
ママの本音だったりします。
とてもつらいことですが
それも一緒に共感してあげる必要があります。
言葉はいりません。
一緒に泣いてあげることしかできませんけど。
そんなBさんの話を
A子にしました。
最初は
めんどくさそうに聞いていましたが
そのうち顔が曇り始めて
顔を真っ赤にして
怒り始めました。
「せんせいは何もわかっていない。
私のことなにもわかってない。」
見たことない顔でした。
鬼の形相って
ああいう顔のことなんですかね。
その顔見て
それがしは笑ったんです。
あははって笑ったんじゃありませんが
うれしくて微笑んだって
いうんですかね。
そしたら
さらにA子は怒って…。
「なに笑ってんの!?笑うところじゃないし」
なんて言うわけですよ。
だから
返してやりました。
「初めてだなあって。そういう必死なお前を見るの。
生きてんじゃん。生きようとしているから腹立ったんだろ?
命目の前に突き付けられたから
自分の命じゃなくて
他人のそれも小さな命の終わり
突き付けられたから
自分に腹が立っているんじゃないのか?」
そんなようなことを言いました。
うつむいて
怒りを抑えようとしているA子に
「お前の美しい死に様の話。B子さんにできるか?
いつものように冷静にさ。死に方の話B子さんにできるか?」
そういうと
今まで絶対に泣いたことのないA子の瞳から
ボロボロ涙が落ちました。
「私はあの人に求められたことなんてない。
私なんかいない方がいいと思っているし
早く死んでほしいと思っているはずだし…」
子どもが
親のことを「あの人」って呼ぶのは
本当に悲しい。
A子が
死に方ばかりを考えていたのは
それなりの理由があったわけで。
幼い時から
ずっとひとりで
その答えを探していたんだろうし
だれにも頼ることなんてできなかった。
「でもなA子。
お前の名前の由来。教えてくれたよな?
求めてなかったらさ
お前の名前。そんな名前にするかなあ。」
A子の名前は
本当に素敵な名前です。
その由来も
ご両親の
愛情を深く感じるものです。
でも
どこかでボタンの掛け違いが
生じた。
掛け直そうと必死だったのはA子だけで。
ご両親は
掛け違えたまま
なにもしようとしなかっただけ。
これ以上
この子の傷に塩を塗っても仕方がないので
新生児病棟へ連れていきました。
最近出産ラッシュで
今日も沢山の生まれたての命が
必死で鼓動していました。
「お前もさ。
ああして生まれてきた。
多分あのチビたちはさ
生まれてきた理由も
生きていく理由も
考えてなくね?
泣くことで生きてる。
泣くことで自分を知らせてる。
お前さ
あのチビたちに
私死にたいんだって言えるか?」
首を横に振るA子がいました。
生まれたての
未熟で
そして必死な命が
A子を救っていくのがわかりました。
「せんせい。生きたい。」
ぽつりとA子が
そう呟きました。
抱きしめてあげたかったですが
中学生なので
頭をなでるだけにしておきました。
それがしにはなんもできません。
Bさんも助けられない。
A子も助けられない。
でも
命と真剣に向かい合っている人同士が
どこかで繋がれば
間違いなく
安心と幸せは生まれていく。
無力なそれがしは
それを繋いでいくこと
ぐらいしかできないかもしれません。
共に生きよう。
そう誰かと言い合いたい。
そんな気分です。
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